(株)アルテップは、2013年9月に創立30周年を迎えました。

アルテップの歩み

社会の変化に対する認識と弊社の立脚点

弊社が設立された1983 年、日本の社会は一段と大きく変わりつつありました。20 余年続いた高度経済成長は、1973 年のオイルショックと戦後初めての実質マイナス成長を機に終り、当時は既に「安定成長期」のまっただ中にありつつも、超高齢化の趨勢が明白になり少子化が始まるなど、「都市化の終焉」「時代の画期」の気配は明らかでした。

しかし経済面では右肩上がりの名残は依然として続き、大都市の市街地の拡大とこれを背景とする市街地開発・住宅建設の勢いは相変わらず旺盛でした。一方で、地方部の疲弊・衰退は益々深刻になりつつありました。
このような状況にあって、弊社は都市や住まいの計画にかかるその後の環境の大変化を予感し、“まもなく到来する21 世紀という新たな時代の予兆を見定め、中長期的な視野に立って時代の変化を予見し、その時々の新たな社会的課題に先取的に応える” ことを謳い業務を進める基本的な立脚点に据えました。
なお、こうした考えや取り組みは、益々混乱し不透明な社会・経済状況が続いている現在もなお一層の重みを持って弊社の基本的な立脚点となっているところです。

業務の変化

しかしその後、事態は再び揺れ戻り、経済面ではバブル景気が到来しそしてやがて崩壊して“平成不況期”に入り、また2000 年代半ばには初めて総人口が減転するなど社会構造が一変し、更に大震災の発生など日本の土台を揺るがすような大きな出来事が多々生起するなかで、弊社の業務も大きく移ろってきました。
設立以来30 余年間の弊社の業務はおおよそ以下のとおり推移してきました。

設立時~1980年代
設立以降長年にわたって、ニュータウン・団地を中心とする郊外開発の計画策定が弊社の主力業務でした。特に設立後十数年はこうした業務が殆どでした。その背景には郊外開発の圧力や住宅需要が当時まだまだ旺盛であったことがありますが、同時に、着手済みのニュータウンや大規模団地開発の多くがまだ事業途上にあったり未着手の地区や街区を多く抱えていたことも関係していました。このため、業務の多くは新規開発団地全体の計画策定やニュータウン内の未開発地区・街区の計画策定という性格を色濃く有していました。
とはいえ、この頃既に都市化の圧力が減衰し、郊外への市街地拡大の勢いが徐々に弱まり、一方では都心居住の推進、既成市街地の再整備・密集地区の更新、遊休地・低利用地の有効利用の推進という政策上・事業上の要請が強まり、80 年代後半からはこうした状況の変化や新たな課題に関係する業務も徐々に増えました。
また、かねてより都市づくりのなかで大きな流れとしてあった都市デザインや街並み形成の領域で、弊社では、80 年代半ば頃から主に質が高い公共施設の整備や街区形成等を中心に、調査・デザイン検討やガイドラインづくり等の業務を手がけていました。

80年代末期になると、ニュータウンの活力の低下や街の魅力の弱さなど、それまでの開発地区に対する問題意識が強まり、これに対応するための方針・戦略づくりや具体的な計画策定、プロジェクト構築に関する業務も次第に増えていきました。

1990年代
こうした動向は、1990 年頃を境に大きく変化しました。その背景として、「都市化の終焉 」という一般の認識が強まり、また大都市における人口の都心回帰や地方都市・中心市街地の疲弊・衰退等が様々なかたちで一段と顕在化し、更に、高齢化が急激に進行し始めたことが挙げられます。

こうした問題に対して、従来の都市の膨脹・拡大を容認しながらそれを適切に“コントロールする”あるいは様々な事態に“個別的に対応する”といった方式の限界が強く意識されるようになり、「都市全体の構造再編」がもはや不可欠であるという認識のもとこうした取り組みが重視されるようになりました。また、いわゆる「フローからストックへ」という考えが当然視されるようになり、「新規開発、新規ストックの形成」から、「新規開発の抑制、ストックの活用」へと流れが大きく変わりました。

こうした変化に伴い、90年代に入った頃から、弊社の業務も、地域全体の再編・再整備を中心とする地域戦略に関する業務、一般既成市街地の再整備計画策定や具体化手法の検討、土地利用転換、地方都市の人口回復・定住促進拠点の整備等に関する業務が多くなり、また都市再生や大規模団地の建て替えに関する業務も手がけるようになりました。

同時に、高齢化の進行に呼応して、集合住宅・団地の高齢化対応や福祉のまちづくりに関する業務も手がけるようになりました。こうした業務は当初は調査・研究が中心でしたが、90 年代半ば頃からは、具体的な方策・手法の検討や計画策定業務へと重点が徐々にシフトしていきました。

この90 年代半ば頃には、「都市構造の再編」に関連して、業務核都市等の広域拠点の整備・育成、団地の建て替えと連携した周辺地域整備といった広域・地域スケールの業務や、これに関連する都市マス関連業務、既成市街地の空間・機能の改善整備とこれを進めるための新たな事業発掘に関する業務なども多くなりました。

一方で、ニュータウンに関する業務、住まいに関する業務も様相を変えながら続いていました。
ニュータウンについては、居住・施設立地のポテンシャルの低下傾向が見られるようになり、施設の立地誘導やビルトアップ促進に関する業務、ニュータウンを中心とする地域全体の再整備・再編等の計画が大きなウェイトを占めるようになり、住まいに関する業務は、様々な制度整備が進められるのと軌を一にして、高齢化に対応する住宅制度や居住システムの検討業務のウェイトが高まりました。

また、魅力的な街並みや景観に対する社会的な関心も高まるなかで、住民も関わる「美しいまちづくり」「街並み誘導」とそれを進める地区計画等の空間誘導・規制関連業務も多くなりました。

2000年代前半
こうした流れは、2000 年頃を境に一変しました。その大きな要因として、2000 年早々の都市計画法の大改正、都市再生特別措置法の制定、密集法の制定とその後の数次に及ぶ改正、大店立地法・中心市街地活性化法の制定が、またそれに先行した公営住宅法の改正や住宅金融公庫法の改正等の住宅政策の55 年体制の大転換が挙げられます。

こうした動きは、都市の膨脹・拡大の容認から抑制へ、あるいは公的住宅の供給抑制や公共住宅の福祉住宅としての性格の強化といった政策の大転換を意味し、また問題が逼迫してきた既成市街地、特に密集市街地の耐災害性の強化や地方都市の衰退に歯止めをかけるなどに国が本腰を入れて取り組むことを意味していました。当時はこうした住宅政策の転換に関係する業務も幾つか関わりました。そして、こうした政策の大転換もあって、弊社の業務も全体としてまた大きく変りました。

都市圏全体に関係する業務として、大都市圏・地域のリノベーション関連業務がこの頃から始まり、都市・地域再生に向けた戦略・構想・計画策定等の業務や都市構造再編に関する業務を最近まで多々手がけてきました。
また、地方都市中心市街地の活性化に関連する業務等もこの頃から手がけるようになりました。

ニュータウンに関する業務はこの頃も続いていましたが、その内容は大きく様変わりし、先発ニュータウンでは事業の終了を視野に入れた熟成化や事業収束に関する業務が、また後発し事業途上にあったニュータウンについては、計画の見直しや従来とは異なる新たな計画の展開と事業の推進に関する業務が中心になりました。なおこの分野では、多くのニュータウン事業が順次収束したこともあり、2000 年代後半になるとニュータウン関連
業務は大幅に減りましたが、既開発地区の再整備や住宅・施設等ストック活用、あるいは利用転換等に関する業務は続き現在に至っています。

この2000 年頃から、弊社では新たに単体建築物の誘導・規制や更新に関する業務を手がけるようになりました。その背景には、1995 年の「建築物の耐震改修促進法」、2002 年の「マンション建て替え円滑化法」など、建築物の更新や耐震性強化を進めるという国の方針がありました。また建築関係法令と実際に建つ建築物の齟齬も随所で顕在化するようになり、この頃から現在まで、集団規定・単体規定両者にわたって建築関係法令の改善整備に関連する調査や制度改善の検討に関わっています。

こうした建築物・都市空間にかかる分野では、2004年の「景観法」の制定を契機に、景観形成・風景づくり、地域固有の歴史・文化資産の保全・再生・活用にも本格的に携わり、特にこうした業務において地域住民との協働、ワークショップの実施など、住民参加にかかる新たな取り組みも進めています。

2000年代中頃~現在
2000年代半ばになるとこうした動きは新たな局面を迎えました。

都市・地域スケールでは、都市計画・土地利用規制等の見直しや制度活用に関する業務が増えました。大規模団地については、それまでの建て替えを主とした更新事業の見直しやそれに替わるストックの活用等の業務が主力になりました。同時にこの頃から、団地を単純に建て替えるのではなく「再生する」という考えが強まり、「団地全体の総合的な再生」に向けた調査、構想・計画策定、事業検討、居住者のサポート等の業務が徐々に増え現在に至っています。

既成市街地については、密集法の改正を機に弊社でも密集地区の整備全般及び重点密集地区の整備、関係制度の整備に関する業務を手がけるようになり、引き続いて現在も注力しています。そしてこの取り組みは後述の大規模災害への対応業務に繋がっています。また、地方都市の中心市街地に関して、2006 年のまちづくり3 法改正を機に、中心市街地活性化に関する業務、3 法改正及びその後のフォロー調査等の業務にも関わっています。

住まいに関する業務については、2001 年の「高齢者居住安定法」、2006 年の「住生活基本法」制定等の新たな政策展開もあり、近年は医療・福祉関係者とも連携して、高齢者への対応に加えて子育てを支援する住まいの検討業務も手がけています。

また、都市の縮退、めりはりのある都市構造への転換等を背景として、一般市街地や大規模団地等におけるインフラ整備等に関する費用対効果の検討、GIS も駆使した土地利用の見直しや建築物立地の検証などの業務も手がけています。

最近の新たな取り組み
住まいに関して、新たに空き家問題への対応に取り組んでいます。この間まずは空き家の活用に関する検討業務が中心でしたが、いま社会問題化している空き家対策、例えば建築物を除去したり建築物・敷地を他の用途に転換するための方策検討など、住宅ストックを全体として再編することを意識しながら業務に取り組んでいます。

また、東日本大震災に関連して、現在、高齢者の問題やコミュニティの維持・再建なども視野に入れて、特に災害公営住宅の供給や維持管理、これを核とする生活拠点の再生・整備に関する業務を手がけています。そして今後とも大規模災害に備えた都市づくり・住まいづくりに多面的に取り組む所存です。

更に、かねてより緑農空間の保全・再生にかかる業務に携わってきましたが、環境問題の深刻化もあり、新たに省資源・低炭素化を進めるための建築物の検討など、環境負荷を減らすための都市づくりや建築物の改善・整備や新たな仕組みづくりとこれを進めるためのモデル事業のサポートにも鋭意取り組んでおり、今後こうした業務にも力を注ぐ方針です。

過去30 余年を振り返ってみると、冒頭に述べた「新たな時代の新たな社会的課題に先取的に取り組む」という基本的なスタンスを、業務を通じて実践してきたと自負していますが、同時に、次から次へと生じる新たな事態に的確に対応したかどうか、真に豊かな都市・住まいづくりに貢献してきたかどうか自ら吟味し外部の評価を仰ぎ、今後一層業務の質を高め社会に貢献することを念じています。

会社概要年表_150708_150907

株式会社アルテップ 取締役相談役 荒川俊介

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